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カレンダーのカバーガール [愛しのリュート達]

「リュート卓上カレンダー2016」も、順調に全国各地へと配達されてゆき、
残り若干数となりました。

これから月が変わるごとに、カレンダーの絵を一枚づつ、
ご紹介していこうと思います。

1月の絵は 1月初めに・・・と考えると、
表紙は 12月初めに、ではありませんか!(慌)

数日出遅れましたが、気を取り直して、さっそく観ていきましょう・・・。

452px-Bartolomeo_Veneto_Woman_playing_a_lute.jpg

私が 表紙に選んだ一枚は、
Bartolomeo Veneto(active 1502-1531)のWoman playing a lute 
バルトロメオ・ヴェネト作の「リュートを弾く女」です。

生没年などについては諸説ありますが、
生年不明、活動期は1502年〜から没年1531年まで、としておきます。
イタリアのヴェネチア、ヴェネト州出身であったことから、バルトロメオ・ヴェネトと呼ばれています。


この絵は、1520年の作で、ミラノのブレラ美術館が所有しているもの。

同じタイトルの、1512年作の絵をアメリカ・ボストンのイザベラ・ステュワート・ガードナー美術館
所有しているらしいのですが、その画像を探すことは出来ませんでした。
機会があったら、二枚を比べてみたいですね。

バルトロメオ・ヴェネトは、フェラーラ、パドヴァ、ミラノと活躍の場を移していきます。
まさにルネサンス音楽が花開いていた時期ですが、
1505年ごろ、フェラーラのエステ家の宮廷画家だったことは気に留めておいてもいいかもしれません。
エステ家のアルフォンソ1世は 器楽曲を好み、その宮廷ではリュートが盛んだったと言われています。


次に リュートに注目してみましょう。

Bartolomeo_Veneto_Woman_playing_a_lute.jpg

絵の中にリュートがあると、すぐに弦の数を数えてしまうわけですが、
これは、6コース(5複弦+1本=11本)。
16世紀前期の典型的なルネサンス・リュートです。

右手は 親指が内側に入った、フィゲタを弾くのに理想的な形。
左手は、親指が表に出ており 棹を握りしめているスタイルで、
一見すると悪いフォームのように思えますが、6コースリュートはこれで正しいとされています。

棹が太く、その断面が半月状のゴロンとした形で、このような棹を、
通称「かまぼこ」と呼んでいます。

まあ、こんな細部を見るのは、リュート弾きだけです。
再び、絵の全体を見てみると。

この絵の魅力は何と言っても、
この女性の 首を傾げるポーズ、上目遣いでじーっと見つめる瞳、
その黒目が端に寄って、白目の部分にキラリと光が入っているところでしょう。

では、この作家の他の作品はどんな感じなのでしょう。
こちらのリンクをご覧下さい。

ほとんどすべてが、同じ構図です(笑)。
アトリエの採光の都合なのか、お得意のポーズだったようです。

そんな中で、この「リュートを弾く女」が、この作家の代表作とされているわけですから、
リュートは 小道具として大いに力を発揮していると言えましょう。
(え!その差なの?)

IMG_3170.jpg

この絵は ダイアナ・ポールトン女史が校訂したダウランド・リュート全集の
表紙を飾ったことで、広く知られるようになりました。

The Collected Lute Music of John Dowland
transcribed and edited by Diana Poulton  and Basil Lam

Faber Music Limited London

リュートを始めたら、まず買いますよね、この楽譜。
「いつかはダウランドを弾くんだ!」と決意しながら。

IMG_3171.jpg

今、手元にあるこの楽譜を開いてみたら、ヤコブ・リンドベルイさんのサインがありました。
1987-8年頃の来日の際に頂いたもの。



考えてみると、6コースリュートが描かれている絵なのに、
何故、8コースリュート中心のダウランド全集の表紙だったのか。

そんなマニアしか気にしない細かいことはいいのよ、
とにかく、この綺麗なお姉さんの目力で誘惑して、
楽譜を手に取らせ、7500円(当時)の出費を決断させるのよ、という
出版社の作戦が 今となってはよくわかります。

もう、リュート卓上カレンダーのカバーガールとしては、
このお姉さんに敵うものはないんじゃないか! 
そう思って、表紙の一枚に選びました(笑)。


リュート卓上カレンダー2016の詳細情報とご注文は
こちらから どうぞ。




☆おまけ☆

男性の肖像画が少しコミカル。
443px-Veneto_0006.jpg

寄り目がちな視線の先には 一体何が?

Veneto_0030.jpg

爽やかな青年ですね〜。どこかメルヘンチック。

☆Bartolomeo Venetoについての詳細情報 wikipedia




☆6コース・ルネサンスリュートの音楽を聴きたい方への私のおすすめCDはこちら☆

フランチェスコ・ダ・ミラノ ''Il divino'' ~ 作品集 (Francesco da Milano ''Il divino'' / Paul O'Dette (lute)) [輸入盤]

フランチェスコ・ダ・ミラノ ''Il divino'' ~ 作品集 (Francesco da Milano ''Il divino'' / Paul O'Dette (lute)) [輸入盤]

  • アーティスト: フランチェスコ・ダ・ミラノ,ポール・オデット (リュート)
  • 出版社/メーカー: harmonia mundi France
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: CD





(名盤。私はこのCDを聴いてリュートを始めました。ジャケット写真がテオルボなのが惜しまれる。)



イタリア・ルネサンスの世俗音楽~私の可愛い娘羊飼い(ジャック・アルカデルト)/他

イタリア・ルネサンスの世俗音楽~私の可愛い娘羊飼い(ジャック・アルカデルト)/他

  • アーティスト: アッツァイオロ,アルカデルト,ヴィラールト,シャーリー・ラムジー
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 1995/01/01
  • メディア: CD





(とにかく、かっこいい! 弾き歌いもあり)



ミラノ:リュート作品集 ファンタジアとリチェルカーレ

ミラノ:リュート作品集 ファンタジアとリチェルカーレ

  • アーティスト: ダ・ミラノ,クリストファー・ウィルソン,シャーリー・ラムジー
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 1994/04/01
  • メディア: CD

ヴェネツィアのリュート曲集

ヴェネツィアのリュート曲集

  • アーティスト: ダルツァ,スピナッチーノ,ボッシネンシス,カピローラ,シャーリー・ラムジー
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: CD





(安定のクリス。リュート二重奏も)



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