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こんにちは、シェイクスピアを研究している者です。こちらの論文について、バラッドについては説得力があるかなと思ったのですが、リュートについてはちょっとどうかなと思うところがありましたので、ツイートで情報提供いたします。(続) @seikolute
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月20日
「当時の貴族は楽器を嗜んではいたものの、人前や公の場で演奏することは
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月20日
貴族と演奏者間の主従関係を崩壊させるとしてふさわしくない行為だとされていた」というところですが、これは引用されている研究が古いのもあり、ちょっと誤解を招きやすいかなと思いました。 @seikolute
人前で貴族が演奏することをはしたないとする批判はありましたが、この批判はそういうことを実際にする人がいたから行われたものだと考えられます。また、引用元の当時の文章で強く批判されているのは頼まれもしないのに自分から演奏することや大勢の前で演奏することです。 @seikolute
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月20日
エリザベス女王が外交官の前でリュートを弾いたとか、若い上流階級の女性が仕えている王族や外交官などのために演奏をしたという記録はあるので、貴族が人前で演奏することじたいが完全に異常だととってしまうとちょっと大げさだと思います。 @seikolute
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月20日
ただ、髪を乱した(狂気のしるし)女性が楽器を持って入ってきて頼まれもしないというのに歌うというのは、敬意を払わなければいけない王妃の前では異常で、階級を逸脱した行為だとは思います。一方、貴族女性が人から頼まれて演奏した場合は逸脱とまではいえないと思います。 @seikolute
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月20日
@Cristoforou おはようございます。貴重な情報を頂き、どうもありがとうございます。リュート奏者としては(貴族ではないですが)ほっとしました、笑。twitter外の方にもお知らせしたく、頂いた情報をブログに転載させて頂きたいのですが、もし問題ありましたらご一報下さいませ。
? 永田斉子 リュート奏者 (@seikolute) 2016年8月21日
はい、もちろん大丈夫です。あと、もう1点補足情報でお役に立つかもしれないかなと思うのは、少なくとも初期近代のイングランドではリュートを演奏するのはプロの音楽家でなければ多くが貴族女性です。女性向けの楽器と思われていたふしがあるようです。(続) @seikolute
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
? saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
ただ、リュートの技術は上流女性にとって花嫁修業の一貫、また宮廷に出仕する際の教養として重視されていたようなので、必ずしもこの「男性に色っぽい演奏を聴かせてはいけない」という教えは守られていなかったのではと私は思います。 @seikolute
横からすみません。元記事もsaebouさんのご指摘も大変興味深く拝読させていただきました。イギリスのこの時代の場合、プロのミュージシャン以外でどういう人たちが弾いていたかを調べる一次資料は手紙や回想録以外だと何になりますか?@Cristoforou @nyan_cor
— ジャスミン男 (@echinodermes) 2016年8月21日
例えばフランス18世紀で楽器がチェンバロだと手紙・回想録以外では作曲家たちの書く奏法概論(traité)や出版した楽譜の序文や献辞でどういう人たちが愛好家として弾いていたかが浮かび上がってくるのですが。@Cristoforou
— ジャスミン男 (@echinodermes) 2016年8月21日
手紙とか日記、回想録以外だと、場合によりますが絵画や財産目録・贈答品の記録、あと詩とかですかね。奏法の教科書や楽譜も場合によっては使えるとは思いますが、そっちのほうは私はあまり詳しくなく…。(続) @echinodermes
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
たとえば女性文人レディ・メアリ・ロウスがテオルボ(大型リュートみたいな楽器)と一緒に描かれた絵があるんですが、たぶん本人が弾けたことを暗示すると思います。絵に描かれたからといって必ずしも奏者だったとは限りませんが、ロウスは歌もダンスも得意だったし。 @echinodermes
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
あと、リュートは贈答品として使用されることがあったので、リュートを贈られてるとか、財産目録にいっぱいリュートがある場合は誰か家族に弾ける人がいたと想定できる場合があると思います。これも、コレクターが必ずしも弾けるとは限らないという問題がありますが… @echinodermes
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
あと、トマス・ワイアットの詩にはリュートがけっこう出てきて本人も弾けたのではないかとか、『ハムレット』や『優しさで殺された女』みたいなお芝居で女性がリュートを弾く場面があるものがありますね。 @echinodermes
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
なるほど財産目録は盲点でした。
— ジャスミン男 (@echinodermes) 2016年8月21日
鍵盤楽器だとお飾りや来客用、もしくは外から音楽家呼ぶ用で一台置く可能性も高いですが、リュートだと財産目録にいくつもあれば弾いていた可能性は高いですよね。@Cristoforou
初期近代の音楽と楽器の演奏が、当時の精神疾患の表象とどのような関係にあったのかを論じたサイト。取り上げられているのは『ハムレット』のオフィーリアです。 https://t.co/jdSpAFt1ct
— akihito suzuki (@akihito_suzuki) 2016年8月21日
@akihito_suzuki これは @FintaPazza さんからコメント欲しいですね。私も、お芝居とのかかわりでしか楽器のことはわからないので…博論を書いている時にテオルボの名手だった女性が持ってたフォリオを調査した程度で、その時に調べた知識がアップデートされておらず…
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
古楽クラスタではおなじみの先生で、特に「狂気」と音楽との関わりについて研究をされています。
お呼び頂きありがとうございます。ざっと流れだけ拝見しました。今締め切りで死んでますんで少し気が付いたことだけを。@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
貴族とリュートついてはさえぼー先生が纏めて下さっているので触れませんがオフィーリアに関して、女優がいなかった当時少年が演じているためいわば「第3の性」として捉えられたという事も脳裏に置く必要があるかと@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
それからオフィーリアが「歌う狂乱の女性」の先駆ではありません(その数年前にLylyが・パンドラの例あり)。オフィーリアが打ち立てたのは「狂乱=バラッドのあれこれをちょっとずつだけ歌いつなげる」です。@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
しかしこのオフィーリアの方法論、既に伊演劇で似たような例があり。が、「数曲のバラッドを繋げる」は王政復興期パーセルらの狂乱歌の構成方法を決定する為重要ではあります(セイチェント1で触れました。宣伝w)@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
伊の話に触れましたが伊演劇では既に女性が舞台でリュート・ギター弾き語りやってるんでその辺りの影響もだんだん出てくる時代です。@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
最後に貴族と楽器の話に戻ると嗜みとしての楽器の習得は男も女も奨励されたがプロになっちゃいけないという感じで、貴族同士の弾き合い会はOKだったはずです。さえぼー先生おっしゃる通り。@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
17世紀中期~後期、だんだん「中流」(に近い)層が出てくるとその層も楽器勉強しますし。(なのでマニュアル本の数が増える)@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
ありがとうございます @FintaPazza さん!リリーはすっかり頭から抜けてました…少年俳優がオフィーリア役だったのはト書きの点からも重要かと思います。 @akihito_suzuki @seikolute
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
ジェンダー絡む話になるとオフィーリア=少年はもっと根本に来るべきですよね。1660年女優登場以降、「舞台で髪を乱した女性」=レイプ被害者か狂女、という表象になるということとも合わせて(苦笑)@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
・・・つまりレイプも狂乱も女優の生の肉体をチラ見せするためのPretextになっていってしまうw。これは「少年」にはできない技でした(苦笑)@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
舞台における女性の男装も17世紀後半はそうなりますねぇ。男装のほうが足がよく見えますから、プロの大人の女優が足もあらわに男装するのと少年俳優がかわいい男の子の格好をするのは違いますし。 @FintaPazza @akihito_suzuki @seikolute
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
これは完全な私の推測ですが、『ハムレット』Q1のト書きはその時の女役の役者の技術に基づいているという可能性もあるかもと思っています。早い段階の上演ではリュートがうまい子がオフィーリアをやっていて(続) @FintaPazza @akihito_suzuki @seikolute
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
"Enter Ofelia playing on a Lute"というト書きがあるが、その後はそういう女形を雇えなくて歌だけにしたというのもあり得なくはないと思っています。 @FintaPazza @akihito_suzuki @seikolute
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
いや、ありありだと思います。現在と違って「のちにリピート上演されるときのために一般的なト書き書いた」ということはありえないと思いますから。@Cristoforou @akihito_suzuki @seikolute
— まつもと(な) (@FintaPazza) 2016年8月21日
やっぱり秋の企画パネルのテーマはオフィーリアにしますかねぇ
— saebou (@Cristoforou) 2016年8月21日
同時進行で、会話が続くため、順序が前後している箇所もありますが、
このようにとてもエキサイティングな情報交換が行われました。
その他、哲学や思想史からのご指摘や、
私が把握しきれなかった各種の翻訳ではどうなっているか、
あるいは実際これまで上演された演劇ではこのシーンがどのように演出されていたか、など、
それぞれのジャンルの方々の間で話題となりました。
すべての情報は私にも把握できておりませんが、時の坩堝(@emanatio999)さんが
「裏古楽の楽しみ-リュートとシェイクスピア】としてまとめてくださっていますので、
こちらもご覧くださいませ。
情報をお寄せくださった皆様、「いいね」やRTをしてくださった方、読んでくださった方々、
どうもありがとうございました!