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コンサートのサブタイトルは「ため息はおやめ、女性たち」 [コンサートのお知らせ]


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アーサー・ヒューズ Arthur Hughes (1831-1915)の
「傷つけられた心」“The Pained Heart”

大型のマンドリンのようにも見える楽器は、おそらくリュートを意図したものでしょう。
19世紀なのでこれは致し方ないですね・・・。

              *****


「Sigh no more, ladies〜ため息はおやめ、女性たち」にしました。

シェイクスピアの喜劇「から騒ぎ」の第2幕第3場に挿入されている劇中歌で、
お抱えの楽師バルサザーがリュートを弾きつつ歌います。


Sigh no more, ladies, sigh no more. 
    Men were deceivers ever, 
One foot in sea, and one on shore, 
    To one thing constant never. 
Then sigh not so, but let them go, 
    And be you blithe and bonny, 
Converting all your sounds of woe 
    Into hey nonny, nonny. 

Sing no more ditties, sing no more 
    Of dumps so dull and heavy. 
The fraud of men was ever so 
    Since summer first was leafy. 
Then sigh not so, but let them go, 
    And be you blithe and bonny, 
Converting all your sounds of woe 
    Into hey, nonny, nonny.

ため息はおやめ、女性たち、もうため息は。
男心は移り気なもの
今日は海へ、明日は陸へ
ひとときも落ち着くことはなし。
だからため息はやめて、未練は捨てて
あなたは明るく笑っておくれ
嘆きの言葉はやめにして、
陽気に歌おう、ヘイ、ノンニ、ノー

歌うのはおやめ、女性たち、もう歌は。
そんなに暗く重い嘆きの歌は。
男の嘘はいつものこと
夏に青葉が初めて繁ったころからずっと。
だからため息はやめて、未練は捨てて
あなたは明るく笑っておくれ
嘆きの言葉はやめにして、
陽気に歌おう、ヘイ、ノンニ、ノー


「明るく笑っていこうよ、女性たち」というポジティブなメッセージが気に入って、
この冒頭部分をサブタイトルに引用させていただきました。



この場面の歌の前後が面白いのですよ。

楽師バルサザーが 前奏部分をリュートを弾き始めると、
傍にいたベネディックが

「なんとも妙なる調べ!魂も奪われてしまう。
奇妙なものだな、羊の腸で人の腹から魂を掴み取ってしまうというのは・」と独白。

そしてバルサザーがリュートを伴奏にこの歌を歌う、という段取り。



「羊の腸で・・」というのは、言うまでもなく、リュートの弦が羊腸を原料としていることを
暗黙の了解としています。

現代においては、この演劇を見ている観客の中で「くすっ」と笑えるのは
リュート関係者だけでしょうね。


同様の比喩で「バグパイプの音色を聴くとトイレに行きたくなる」というセリフも
どの作品だったかは忘れちゃったのですが、あったような。

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見逃していたケネス・ブラナー監督の映画「Much Ado About Nothing」(1993年)を
見てみましたら、この歌詞から映画が始まるという演出になっていました。

1993年なんて子育て真っ最中でこんな映画があったとは全く知らず。
当時、結構ヒットしたらしいから、
この「Sigh no more, ladies」も知っている人は知っているのか。
私は何も知らなかったけれど、サブタイトルにして良かった・・・。

もちろん、この映画での音楽は古楽テイストではなく、
リュートの代わりにギターが登場するのですが、
これはこれでメロディーの美しい曲に仕上がっています。
英米の定番の合唱曲になっているみたい。

聞いてみたい方はこちらからどうぞ。


当時の劇では 滑稽な役人・ドグベリーをケンプが演じたという記録が
残っているとのことで、そう思って映画を見ると親近感がわきました。

シェイクスピアの戯曲作品は、本だけで読んでも理解しずらいのですが、
こうして映画作品を見て、大筋をつかんでから読み直したりすると楽しいですね。





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