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政治的プロパガンダ「ウィロビー卿のご帰館(還)」 [コンサートのお知らせ]


今回、取り上げるのは「ウィロビー卿のご帰館」。

これもブロードサイド・バラッドの一つですが、このメロディーにのせて伝えられたのは、
政治的なニュースや、戦いでの勝利の知らせなどでした。


487px-Peregrine_Bertie,_13th_Baron_Willoughby_de_Eresby,_oil_painting.jpg

本来の歌の内容は、この肖像画の人物、ウィロビー・ド・エレスビー卿ペレグリーヌ・ベルティが 
イングランドの将校としてネーデルランドで戦い、戦功を挙げたことを讃える歌です。

勇ましい乗馬姿の挿絵がかっこよくて、目を引くため、
別の内容のニュースを報じるバラッド・シートでも、この挿絵は引用され続けています。


今回のコンサートではダウランドが作曲したものを演奏しますが、
凱旋の曲らしいエネルギーに満ちた華やかな曲調です。

同じくダウランドによるリュート二重奏版や、
バードによる鍵盤楽器のための作品などがあります。



血なまぐさい戦闘の様子から、ウィロビー卿を讃える言葉、
負傷兵に対するエリザベス女王の恩恵についてなどが綴られています。




これまで「ウィロビー卿のご帰『館』」と邦訳をつけていましたが、
このような状況を考えると「戦地から戻る」ことをピンポイントで示す
「帰還」の訳の方がいいかも、と思いました。

曲の背景は前から知ってはいたのですが、なぜか「帰還」というと、
私にとっては「宇宙空間から無事に地球に戻った!」ぐらいのスケールの大きさを
感じさせる言葉だったんですよね。(映画の見過ぎ)

オランダの戦地から戻ったといっても、ドーバー海峡渡ったくらいの距離、
「おかえりなさ〜い!」(頭の中では奥さんが玄関に出迎えている図柄)という程度で
いいんじゃないかと思っていたんですが、戦闘はそんな甘いものではなかった・・・。

女王も町の人々も、旗を振りつつ総出で出迎えるイメージに変換して、
次回からは タイトルを「ウィロビー卿のご帰還」に改めようと思います。




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