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ダウランドがシェイクスピア詩に登場!? [愛しのリュート達]


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シェイクスピアの詩集として1599年に出版された「Passionate Pilgrim」(情熱の巡礼者)。

その中にこのような詩があります。


 VIII. If music and sweet poetry agree

If music and sweet poetry agree,
As they must needs (the sister and the brother),
Then must the love be great ‘twixt thee and me,
Because thou lov’st the one, and I the other.
Dowland to thee is dear, whose heavenly touch
Upon the lute doth ravish human sense;
Spenser to me, whose deep conceit is such
As passing all conceit needs no defence.
Thou lov’st to hear the sweet melodious sound
That Phoebus’ lute (the queen of music) makes;
And I in deep delight am chiefly drowned
When as himself to singing he betakes.
One god is god of both (as poets feign)
One knight loves both, and both in thee remain.


「おお、シェイクスピアの詩にダウランドが登場している!」
(ダウンロードの間違いじゃないよな・・・?と何度も確認)

「リュートを弾くタッチがどうのこうの・・・と書かれている!」
(古い英語がよくわからんが、heavenlyという単語がいかにも上手そうじゃないか)

「(オルフェウスでなくて)太陽神フォイブスのリュートという例えも珍しい!」

「シェイクスピアはダウランドに会ったことがあるのか?!」

と興奮したのも束の間、これはぬか喜びに終わりました。


この詩集、表紙には、By W. Shakespeare と謳っているものの、
そのうち実際のシェイクスピアの作品は5作のみ。

この詩の作者は Richard Barnfield(1574-1627)で、
既に前年1598年に出版された「Poems in Divers Humors」に収録されているそうです。

要は、シェイクスピアの他にもいろいろな作家の詩を集めたものだったのに、
表紙には「シェイクスピア詩集」と堂々とつけてしまって、
あたかも全部がシェイクスピアの作品であるかのような誤解を生んでいるわけです。

出版したウィリアム・ジャガードが不誠実だよなーと思う一方で、
シェイクスピアの名前を押し出せば売れる!という
当時の人気の高さをうかがい知ることができますね。

400年後に、まんまとジャガードの「シェイクスピア商法」に引っかかってしまった私。




まあ、気を取り直して。

上記の詩、音楽と詩とを並べているわけですが、
音楽家としてダウランド、詩人としてにはスペンサーがその代表として登場しています。


どなたか古語の英語詩を訳するのが3度の飯より好きです!という方、お知恵をお貸し下さい。

シェイクスピア作でなくても構わないので、リュート弾きにとっては、
ダウランドが当時どんな風に思われていたのか純粋に知ってみたいです。

mail(a)seikonagata.com       (a)を@に換えて下さい。





何か、新しいダウランドのCDないかなーと探してみたらこんなCDが。

「ダウランドもいいのだけど・・・」Not Just Dowland というタイトルのCD。



「ダウランドもいいのだけど・・・」ってじゃあ、何がおすすめなの?と
思って収録曲を見たら、見事にダウランド以外のリュートソング、
同時代のイタリアの歌曲(メルラなど)を集めたCDでした。(ソプラノとリュート)

このネーミングすごいな。「シェイクスピア商法」より上手な気がする。
ダウランドを聴きたいのに、すでにこれを買いたい気分になっている私・・・。

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