映画《カラヴァッジョ〜天才画家の光と影〜》 [お気に入り]
昨年から借りようと思っていたのに、人気が高くて待ち続けたDVD、
《カラヴァッジョ〜天才画家の光と影〜》。
ようやくこの連休中に観ることができました。
出来ることなら上野で開催中の「カラヴァッジョ展」に出かける前に見ておけば良かった、
そうしたら実物の作品を前にして感じることも違っただろう、というのが率直な感想。
展覧会では、暴力事件の裁判記録やら、
私が笑い転げそうになった「アーティチョークの皿」事件についてのパネル展示があり、
それはそれで意義のあることではあったのですが、
素朴な疑問として「この人は一体、何に対して苛立っているのだろう?」と思ったわけですよ。
過去になってしまえば結局「記録されたもの」「形として存在するもの」が残り、
その中でも「世間の耳目を集めやすい」「分かりやすい単純なこと」だけが強調されて伝わり、
前後の経緯や複雑な感情の移り変わりは、すっぽりと抜け落ちてしまう。
展示会場であるご婦人が漏らしていた「この人は生まれつき短気な性格なのねぇ」という単純さで
芸術家が片付けられるはずはないではないか。
そうならざるを得なかった事情があるなら、それは何だったのかと。
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ネタバレになるから詳細は記さないけれど、残酷なシーンが怖くて怖くて。
「映画なんだからね?作り物なんだからね、安心して見て。」と家人に笑われつつ、
画面を見るのに耐えかねて時々メガネを外したり(少しボケるからショックが和らぐ)
(字幕を読むために)メガネをかけたり・・・と忙しくしながら、ようやく見終えました。
ああ、最初から短気で暴力的な人ではなかったんだ、と安堵しました。
もちろん映画は事実ではないし、所詮、他人の心中など分かりえないものであるから、
そう解釈して映画を作った人がいたことに安堵した、と言うべきか。
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音楽は、チェンバロ、リコーダー、リュートなど古楽器の音は聞こえてくるものの、
楽曲はクラシック調のいわゆる映画音楽で、それはそれで物語の方に集中できるというもの。
貴族の宮廷内での食事のシーンで、リュートを演奏する青年が登場するのですが、
なぜかその青年だけ「バロック風のセットにうっかり紛れ込んだ現代人」に見えてしまった。
楽器に馴染みがあるから、そう錯覚しちゃうのかしら。
どうしてもユニクロのスウェットを着ている人に見えて、可笑しい。
「皆、静かにして(リュート弾いているんだから!)」
・・・セリフを言っているのは別の人物です。
これは吹き替えで、俳優さんがリュートを弾いているふりをしているだけのよう。
実際のリュート演奏を担当しているのは、ローマ出身のリュート奏者 Michele Carrecaさん。
Michele Carrecaさんの公式サイト。演奏音源、Youtubeなどもあります。
さすがローマ出身の方、そのままカラヴァッジョの映画に出れそうな風貌ですね。
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【Youtubeに映画の予告編がありました】
【映画の公式サイト】キャスト&スタッフ、あらすじなどはこちらをどうぞ。
先日、カラヴァッジョ展を見に行った時のブログ記事はこちら。