映画《ドグラ・マグラ》リマスター版 [お気に入り]
原作の本やそれの映画(ビデオ)など、今までにも幾度となく読んだり見たりしているわけですが、
最近、DVD化されたというのでレンタルしてみました。
1988年の映画を デジタルリマスター化したもの。
デジタルリマスター版、良かったですよ。全く印象が違う。
画面を覆う「どよーん」とした感じがなくなったというか。
一言で言うと、眠くならない。
画質が良くなったことで、単純にいろんな細部(美術や小道具など)がよく見えるようになり、
画面を見つめることに忙しく、あっという間に終わってしまいました。
モノクロ/カラー、動画/静止画、あるいは人形劇という表現の濃淡をつけることで、
時制や場面を区別をしようとする演出意図があるんではないかと思うのですが、
デジタルリマスター版になって、それがより明確になっていました。
それでも意味不明の、非常にわかりにくい複雑な小説ではあることに変わりはないのですが。
作品中、スライドを上映するシーンがあって、家族との思い出が蘇って懐かしかったです。
一枚一枚厚紙に貼り付けてあるフィルムを重ねて、スライド投影機にセットし、
板をバタン、バタンと左右に移動させると、自動的にスライドが送り込まれて投影できる機械。
家庭内での上映会で、その係を私がいつも担当していたのだけれど、
スライド送りが上手くいく時と、引っかかって上手くいかない時があったなー。
そんな機械があったことなんか、もう今では知っている人も少ないんだろう。
いろんな種類があるみたいだけれど、こんなの。
今、私が朗読音楽会「ロバのおうじ」で同じようなことをやっているのは、
ここに原点があったのか!と思わぬ発見。・・・
日本探偵小説の三大奇書に数えられる「ドグラ・マグラ」、
好きな人は好きだろうし、そうでない人には全く意味不明の小説でしょう。
まだ読んだことがない人に「一度読んでみるといいよ」と、勧めることもできないかな。
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」(角川文庫版・裏表紙)とされるから。
そんなことは全くないと思うが、私が言っても説得力がないか。
まあ、自己責任で。
「もともと好きな人は、デジタルリマスター版を見てみるとまた新たな発見がありそうですよ」と
おすすめしておきます。
Youtubeに今回のリマスター版発売告知の動画がありました。
【原作は夢野久作】
角川文庫の表紙絵は米倉斉加年さん。子供の頃、俳優としてなぜか大好きだったのよね。
2016-05-06 11:06
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