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web版夏目漱石デジタル文学館 [お気に入り]


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今年、来年と記念の年にあたる夏目漱石。
気になりながらも、とうとう神奈川で開催されていた展示会には出かけることが
できないうちに、会期が終わってしまいました。

ちょっとがっかりしていたら、
県立神奈川近代文学館所蔵の漱石にゆかりの品々を掲載したサイトを見つけましたので、
ご紹介します。


もう見所満載!
手紙コーナーでは「硝子ビュー」と「ほたるビュー」が選べますが、
これが何を意味し、どう違うか、ぜひお試しください。
なかなか風流でありながらも、研究にも役立つコーナーです。
こんな工夫をしているサイトは初めて。

遺品コーナーの、魚の形をした筆置きや青磁の筆洗い、愛用の筆、
愛嬌のある印章などを見てから、手紙を読むと、手紙を書いている姿が目に浮かぶようです。



部屋の様子も再現されていて、絨毯をしいた上に座布団とか、和洋折衷なのも面白い。
漢書や和書は平たく積み重ねられていて、その下の段には洋書が並べられている本棚の様子を見ると、
漢学が当然の教養だった世代だったことも思い起こされます。


高校生の時「将来何になりたいか」と訊かれて「夏目漱石のうちの住み込みの女中」と答えて
学校の先生にも友人にも呆れられましたが、その気持ちは、ちっとも変わりません。

女中はもう体力的にお呼びでないだろうけれども、
せめて彼の漢詩の良さがわかる大人になりたいなあと最近強く思います。



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ゼリービーンズのことを最近はソフトグミと呼ぶ [お気に入り]


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娘が「これ食べていいよ」とお菓子の箱をくれた。

「わーい。何?」

「グミだよ。会社でもらったんだけれど、私、甘い物いらないから」


小さな箱を開けると、小型のゼリービーンズが出てきた。
なんか懐かしいな・・・。
パクパク食べてしまった。


空になった小箱を前にして考える。

今時の子は、これをグミだというのか。
どうみてもゼリービーンズの色や形をしているのに。

商品サイトにも「ソフトグミ」と書いてある。
ずっと以前に食べたゼリービーンズの味を思い出してみると、確かにこれは違う。
あれは、もっと甘ったるくて人工的な味がした。
このソフトグミとやらは、もっと爽やかな酸っぱさがあって、
いわゆる柑橘系グミの味だ。


「ゼリービーンズ、わー懐かしい!」と思って飛びつく世代と、
「このグミ、可愛いー!」と飛びつく若い世代との両方に訴求しようとするメーカーの策略なのか。
マーケティングうまいな。
その手にのるものか・・・と思いつつ、空になった小箱を見つめている。






ブログトップの写真は、これ。箱のパッケージデザインがよい。
開け口のところに工夫があって、一度にドバッと出ないようになっている。


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青ヴァージョンもある。

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高度経済成長期とピアノ文化について [お気に入り]


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先日、ある書き物をしていて何気なく、
「・・・あたかも高度経済成長期におけるピアノのような役割を」という喩えを書きかけて、
「これは自分の実感としては確かにあるのだけれども、データとしてはまとめたものがあるのだろうか?」
と思ったのだった。

昭和30年代から50年代にかけてのピアノ(のお稽古)の普及と、
その背景にある社会的状況に関連はあるのか、あるとしたらどのように関連していたのか。
自分の子供(特に女の子)にピアノを習わせようとしたあの世代の母親たちの心情は何だったのか。

論文を検索したら、あっさりと目的のものが見つかった。

慶応義塾大学大学院社会学研究科の紀要に掲載されている

面白いのは、筆者が「オーラルヒストリー・インタビュー」という方法で、
いろんな世代の人にインタビューを行い、分析している点である。

明治期の洋楽導入期から戦前、そして高度経済成長期へと、ピアノに対する距離感が変化していく様子が
インタヴューで答えている人々の言葉で語られていく。

こういうところは、文献だけに頼らない、社会学らしさが感じられて新鮮だ。
もちろん数字のデータの裏付けもなされている。


そして、高度経済成長期におけるピアノ文化とは「大衆層」を支持基盤とする「高級文化」であり、
その受容者層にとって「大衆文化」からの差異を図るものであった、という結論に至る。

その背景としてヤマハ音楽教室があるわけだが、その社長が目指していたものについての話も、
このところ、古楽が「聴いて楽しむだけ」だった時代から
「演奏して楽しむ」時代へと移行しているように思える最近の古楽事情の将来を考える上で、
何かヒントが見つかりそうな気がする。

母親と娘の「ピアノのお稽古」を巡る心理についても分析されているが、
やはり、と思う。

この対立構図は、今でも(社会状況や経済状況に関係なく)多少はあるように見えるが、
単に「自分が果たせなかった夢を子供に託す」というどこにでもある親のエゴの問題なのか。

子供にピアノを習わせているけれど ちっとも練習しなくて困っている、とか、
音楽の趣味をめぐって親子喧嘩することが多い、という悩みがある方は、
音楽の深層にあるそれぞれの心理を客観的に見つめ直すきっかけになるかもしれない。










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紫陽花とシーボルト [日々の想い]


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紫陽花がそろそろ咲き始めましたね。

毎年、紫陽花には強く心惹かれて、よく写真を撮っているような気がします。
小さな花がいっぱい集まって、一つの花を形作っているところも好きだし、
どんどん色が変化していくのも、面白いんですよね。

長崎人にとっては、シーボルトゆかりの花という点もあって、親しみを感じるところ。

そういえば、今年は、シーボルト没後150年にもあたり、夏には展示会がありますね。


月琴関係で見たい資料もあるので、出かけようと思っています。

夏バテしないように、今から身体を鍛えておかなくては!





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新宿西口 [お気に入り]

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いつものように散歩に出かけたら、ちょっと興が乗ったので、
新宿の本屋さんに。

夕陽が落ちてやがて夜にかわるまでの短い時間が好き。


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近影 [プロフィール]


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10コース、6コースリュートのケースを背景に、カメラテスト中。

盛ってませんから!



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蛇のマーク [お気に入り]


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貴族の館のような佇まいですが、近所の「動物病院」の玄関です。

院長の得意分野がヘビをはじめとする爬虫類なのかな、と思いましたが、
まあ普通にワンちゃんや、ネコちゃんがお客さんみたいです。

しばし考え、救急車についている「杖にヘビ」のマークと同じかと思い当たりました。
(古代ギリシャの医神・アスクレピオスに由来)


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これね。(横浜市救急救命士会のサイトから画像をお借りしました。説明もあります。)

つぶらな瞳のヘビ・・・。


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さて、近所の動物病院ですが、これ以外にそれらしい表札はなく、
なかなか強気な営業をしています。


平たい眼と 厚めの唇にも見える舌が、だんだん可愛く見えてきました。


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パーセル〜その音楽と生涯 [コンサートのお知らせ]


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NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会のコンサートのご案内です。

今谷先生の解説つきで演奏を楽しむシリーズです。

パーセルの作品と生涯を辿ってきましたが、その5回目、
今回は お二人のヴァイオリン奏者を迎え、器楽のみのアンサンブルです。



ーーーー パーセル その音楽と生涯 V ーーーーー

日時:2016年5月29日(日)開演 14:00  (開場 13:30)

演奏:川久保洋子(ヴァイオリン)
   渡邊さとみ(ヴァイオリン)
   西沢央子(チェロ)
   能登伊津子(チェンバロ)

ナビゲーター:今谷和徳 


プログラム:2つのヴァイオリンとバスのための3声のソナタより
      第6番、第7番、第10番

      4声のソナタより 第6番  他


料金:一般前売 3,000円 当日3,500円(会員1,000円)
前売お取り扱い:東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999
前売 予約:東京古典楽器センター 03-3952-5515

主催&お問い合わせ:NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会 TEL&FAX 03-5333-1087
          協会サイトよりメール




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バラの季節に [日々の想い]


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バラの美しい季節になりましたね。

小雨のぱらつく中でも、元気にウォーキング続行中です。





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映画《カラヴァッジョ〜天才画家の光と影〜》 [お気に入り]


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昨年から借りようと思っていたのに、人気が高くて待ち続けたDVD、
《カラヴァッジョ〜天才画家の光と影〜》。

ようやくこの連休中に観ることができました。

出来ることなら上野で開催中の「カラヴァッジョ展」に出かける前に見ておけば良かった、
そうしたら実物の作品を前にして感じることも違っただろう、というのが率直な感想。

展覧会では、暴力事件の裁判記録やら、
私が笑い転げそうになった「アーティチョークの皿」事件についてのパネル展示があり、
それはそれで意義のあることではあったのですが、
素朴な疑問として「この人は一体、何に対して苛立っているのだろう?」と思ったわけですよ。


過去になってしまえば結局「記録されたもの」「形として存在するもの」が残り、
その中でも「世間の耳目を集めやすい」「分かりやすい単純なこと」だけが強調されて伝わり、
前後の経緯や複雑な感情の移り変わりは、すっぽりと抜け落ちてしまう。


展示会場であるご婦人が漏らしていた「この人は生まれつき短気な性格なのねぇ」という単純さで
芸術家が片付けられるはずはないではないか。
そうならざるを得なかった事情があるなら、それは何だったのかと。


    ***


ネタバレになるから詳細は記さないけれど、残酷なシーンが怖くて怖くて。
「映画なんだからね?作り物なんだからね、安心して見て。」と家人に笑われつつ、
画面を見るのに耐えかねて時々メガネを外したり(少しボケるからショックが和らぐ)
(字幕を読むために)メガネをかけたり・・・と忙しくしながら、ようやく見終えました。


ああ、最初から短気で暴力的な人ではなかったんだ、と安堵しました。
もちろん映画は事実ではないし、所詮、他人の心中など分かりえないものであるから、
そう解釈して映画を作った人がいたことに安堵した、と言うべきか。


    ***


音楽は、チェンバロ、リコーダー、リュートなど古楽器の音は聞こえてくるものの、
楽曲はクラシック調のいわゆる映画音楽で、それはそれで物語の方に集中できるというもの。


貴族の宮廷内での食事のシーンで、リュートを演奏する青年が登場するのですが、
なぜかその青年だけ「バロック風のセットにうっかり紛れ込んだ現代人」に見えてしまった。
楽器に馴染みがあるから、そう錯覚しちゃうのかしら。
どうしてもユニクロのスウェットを着ている人に見えて、可笑しい。

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「皆、静かにして(リュート弾いているんだから!)」

・・・セリフを言っているのは別の人物です。



これは吹き替えで、俳優さんがリュートを弾いているふりをしているだけのよう。
実際のリュート演奏を担当しているのは、ローマ出身のリュート奏者 Michele Carrecaさん。

Michele  Carrecaさんの公式サイト。演奏音源、Youtubeなどもあります。

さすがローマ出身の方、そのままカラヴァッジョの映画に出れそうな風貌ですね。

    
      ***


【Youtubeに映画の予告編がありました】


 

映画の公式サイト】キャスト&スタッフ、あらすじなどはこちらをどうぞ。



先日、カラヴァッジョ展を見に行った時のブログ記事はこちら


カラヴァッジョ~天才画家の光と影~【完全版】 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2010/11/02
  • メディア: DVD



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木村佐千子氏論文『古楽の演奏と演奏慣習』 [お気に入り]


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獨協大学の紀要に収録されている、古楽の演奏に関する論文を教えていただき、
早速読んでみましたら、これがなかなかよくまとまっていて感銘を受けましたので、
シェアしておきます。

興味のある方、ぜひご一読下さいませ。

獨協大学紀要(2006年9月)

上記のリンクページから、【CiNii本文全文PDFオープンアクセス】をクリックすると
PDFファイルで読むことができます。
全部で29ページ。(紀要のp.57-85まで)



読みやすい文体なので、ぜひ全体を読むことをお勧めしたいですが、
時間がない、という方はまず、p.76以降から最後までを読んでみる、でも楽しめます。


前半、古楽復興の歴史については、知らなかった情報も多く、認識を改めました。

後半は、演奏する側、聴く側、コンサートを主催する側として、考えるヒントがいっぱい。




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リュートカレンダー5月の絵 [愛しのリュート達]


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五月の連休も終盤となりました。いかがお過ごしでしたか?

さて、今月のリュートカレンダーの絵をご紹介しましょう。


オラツィオ・ロミ・ジェンティレスキの【リュートを弾く娘】。
Orazio Lomi Gentileschi (1563-1639) “The lute player” (1615年頃の作品)

イタリアのピサの生まれ、ちょうど同じ頃、同地でガリレオ・ガリレイが生まれています。


どんな風貌の人かというと、アンソニー・ヴァン・ダイクによる肖像画がこちら。

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簡単に経歴と特徴をまとめると・・・
1)イタリアのバロック期の画家であり、カラヴァッジョ派(カラジヴァッジェスキ)の代表的な一人。
3)フランスのマリー・ド・メディシス、イギリスのチャールズ1世の宮廷画家として活躍。

詳しい経歴を知りたい方は wikipediaのこちらをどうぞ。


1)のカラヴァッジョ派の画家、という点については、
この春、東京で開催されている「カラヴァッジョ展」に、彼の別の作品が出展されていたことからも 
周知された感があります。

カラヴァッジョの暴力事件に関する裁判で証人になり、その数年後には、
2)の娘のレイプ事件の裁判があったりして、お父さんも心の傷を負い、町に居づらくなってきます。

そこでオラツィオは、イタリアの外で仕事を取ろう!という作戦に出ます。
もともと、カラヴァッジョが殺人事件を起こして逃亡したのち、
そのパトロンの注文を引き継いだくらいの絵の実力はあったし、
カラヴァッジョと違って、集団での制作活動もこなせるコミュ力高い人!

その結果が、3)のフランス、イギリスの宮廷画家ということになります。
その画風は、次第に柔らかく装飾的になり、貴族たちにも 大受け!


人生、何がきっかけとなって幸運を呼び寄せるか、わからないものですな・・・。

ちなみに、オラツィオがイギリスに移住した同年に、ダウランドが亡くなっています。
惜しい! ニアミス。


                ***


さてさて、本題の作品を。

まずは、リュートの細部を見てみましょう。

リュートの表面板が後ろ向きになっていて弦が見えないので、
ペグの数からコース(弦の数)を判定することに。(少し彩度を上げました)

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ペグは19個並んでいるので、これは紛れもなく、10コースのルネサンス・リュート。
1615年頃に描かれているので、時代もぴったり。
1コースは、単弦。



この絵の一番面白いところは、フレットの巻き方です!

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うっ、見ただけで痛いよ・・・。
左親指がモロにあたる位置に、フレットの結び目が作ってあります。
フレットの結び目部分はトゲトゲしていて、この上に親指が来てしまうと、
それが指に突き刺さり、痛くて弦を押さえるどころではありません。

通常は、棹の最も上の部分、ほとんど指板の表面と棹の境目に近い部分に結び目を作ります。
ただ、貧乏くさい話ですが、擦り減ってきたフレットを節約するために、
半回転させて再利用することがあり、その際この絵のような状態になります。

その時「節約」と「痛み」をどっちを取るか、という厳しい選択を迫られているのですよ。
(誰もそんな私の心中など知らんだろうけど)

こんなところにフレットがあって痛くないのか?と 不思議ではありますが、
こういうフレットは 他で見ることがなく、とても興味深いです。

ちなみに、このフレットはダブルではなく、シングルで張られていますね。



次に、テーブルの上を見てみましょう。

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ヴァイオリンがまず目に入ります。
弓がその下敷きになっているのですが、これは大丈夫なのでしょうか?(ちょっと心配・・・)

ヴァイオリンの左右に、二本の管楽器。
どちらも穴の側をこちらに向けていて、全貌が不明なこともあって、
専門外の私には具体的な名前がわかりません。

右の方は少しラッパ状に開いた形状ですが、これは ショームでしょうか?

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左はツィンク?  円筒形でなく、少し角っとしているように見えるし、皮を巻いてあるような。

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二冊の楽譜が開いて置いてありますが、タブラチュアではなく五線譜。

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曲を特定するところまではいきませんが、読めるんじゃないか、と思うほどに、
細かく書いてあります。




この時代の風俗画は、これらの小道具にも アレゴリー(寓意)を読み取って解釈するわけで、
いろいろな記述を読みました。

例えば、真剣に耳を澄ましている様子が「聴覚」を表している、とか、
リュートの弦を奏でている姿が ギリシャの女神「ハルモニア」(調和)を示している、とか。

そんな小難しいことは、私はどうでもいいわ。知りたいのはただ一つ。

【この娘は 耳をこんなにリュートにくっつけて、いったい何をしているの?】です。

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調弦するでもなく、弾いているにしても姿勢が変。


それで、この通りに10コースリュートをテーブルに置きつつ支え(これはよくある持ち方)、
テーブルの上から楽譜を半分垂らし・・・と、実際にやってみることにしました。

このように楽器を保持すると、思いの外、左腕とテーブルの間にはスペースがあります。
そして、その姿勢でテーブルの上の楽譜を見ようとすると、まさにこのポーズになるのです。

リュートを持っている人は、やってみるといいですよ。


あとは黄色のジャンパースカートを着て、うなじを見せれば、もう完璧!





そして、この作品のリュート以外の見所は、ジャンパースカートの「紐」だと思う。

ファスナーというものがなかった時代は、ドレスを脱ぎ着するために紐をクロスしながら
(今の靴紐のように)閉じていたわけですが、これは結構、面倒くさい。
後ろにあるから、手がつりそうになる。
身分の高い人なら女官が手伝ってくれるものの、一般人はどうしていたのか。

これが長い間、疑問だったのです。

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後ろ中心ではなく やや脇よりにあり、しかも完全にクロスさせてはいない。
これなら自分一人でも着脱できそう。

一方通行のみの紐通しなので、紐の長さが余っている。その紐を辿って・・・。

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紐の先端部分を見ると、ほつれ止めなのか 穴に通しやすくするためか、
何かによって補強されているのがわかります。

ちょうど今の私たちが、セロハンテープでそうするように。


リュートのフレットの結び目の位置や、こんなドレスの紐の先とか、
(おそらく私以外の人にとってはどうでもいいことを)
いちいちリアルに描き込んでいるのを見ると「ああ、やっぱりカラヴァッジョ派だなあ」と納得した次第。


長くなりました。最後まで読んでくださって、どうもありがとうございました!





【今月のCD】


ジャケットはカラヴァッジョの作品。
内容は、ちょうどオラツィオ・ジェンティレスキと同時代のイタリア、そして移住したイギリスの、
その頃のリュート曲が収められています。
リンク先で、一部分の視聴ができます。



イギリス・イタリア・リュート作品集 [Import](Lindberg:Virtuoso Lute Music from Italy & England)

イギリス・イタリア・リュート作品集 [Import](Lindberg:Virtuoso Lute Music from Italy & England)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 1988/03/01
  • メディア: CD



この作品をジェケットに使用しているCD。
やや珍しい内容で、あのカッチーニの娘、フランチェスカ・カッチーニの作品を収めています。


カッチーニ:宗教曲と世俗歌曲集 (Caccini: Maria, dolce Maria)

カッチーニ:宗教曲と世俗歌曲集 (Caccini: Maria, dolce Maria)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BRILLIANT CLASSICS
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: CD









有名なシチリアーナ(これもちょうど同時代)やイギリスものを収録したミニアルバム。
初めてリュートを聴く方にもオススメ。




シチリアーナ~リュートのためのアリア

シチリアーナ~リュートのためのアリア

  • アーティスト: つのだたかし,つのだたかし,小川和隆
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1999/12/01
  • メディア: CD



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映画《ドグラ・マグラ》リマスター版 [お気に入り]


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原作の本やそれの映画(ビデオ)など、今までにも幾度となく読んだり見たりしているわけですが、
最近、DVD化されたというのでレンタルしてみました。

1988年の映画を デジタルリマスター化したもの。



デジタルリマスター版、良かったですよ。全く印象が違う。

画面を覆う「どよーん」とした感じがなくなったというか。
一言で言うと、眠くならない。


画質が良くなったことで、単純にいろんな細部(美術や小道具など)がよく見えるようになり、
画面を見つめることに忙しく、あっという間に終わってしまいました。


モノクロ/カラー、動画/静止画、あるいは人形劇という表現の濃淡をつけることで、
時制や場面を区別をしようとする演出意図があるんではないかと思うのですが、
デジタルリマスター版になって、それがより明確になっていました。

それでも意味不明の、非常にわかりにくい複雑な小説ではあることに変わりはないのですが。





作品中、スライドを上映するシーンがあって、家族との思い出が蘇って懐かしかったです。
一枚一枚厚紙に貼り付けてあるフィルムを重ねて、スライド投影機にセットし、
板をバタン、バタンと左右に移動させると、自動的にスライドが送り込まれて投影できる機械。

家庭内での上映会で、その係を私がいつも担当していたのだけれど、
スライド送りが上手くいく時と、引っかかって上手くいかない時があったなー。
そんな機械があったことなんか、もう今では知っている人も少ないんだろう。

いろんな種類があるみたいだけれど、こんなの。

今、私が朗読音楽会「ロバのおうじ」で同じようなことをやっているのは、
ここに原点があったのか!と思わぬ発見。・・・





日本探偵小説の三大奇書に数えられる「ドグラ・マグラ」、
好きな人は好きだろうし、そうでない人には全く意味不明の小説でしょう。

まだ読んだことがない人に「一度読んでみるといいよ」と、勧めることもできないかな。
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」(角川文庫版・裏表紙)とされるから。
そんなことは全くないと思うが、私が言っても説得力がないか。
まあ、自己責任で。


「もともと好きな人は、デジタルリマスター版を見てみるとまた新たな発見がありそうですよ」と
おすすめしておきます。


Youtubeに今回のリマスター版発売告知の動画がありました。



【DVD】

ドグラ・マグラ [DVD]

ドグラ・マグラ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ディメンション
  • メディア: DVD



【原作は夢野久作】
角川文庫の表紙絵は米倉斉加年さん。子供の頃、俳優としてなぜか大好きだったのよね。


ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

  • 作者: 夢野 久作
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1976/10
  • メディア: 文庫
    ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

    ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

    • 作者: 夢野 久作
    • 出版社/メーカー: 角川書店
    • 発売日: 1976/10
    • メディア: 文庫

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/10/01
  • メディア: Kindle版



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木村洋平氏の新著『遊戯哲学博物誌』 [お気に入り]


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木村洋平さんが、新しい哲学の本『遊戯哲学博物誌』を完成されましたので、
ご紹介します。


木村洋平さんは、リュート関係者には『珈琲と吟遊詩人〜不思議な楽器リュートを奏でる』で
おなじみの作家さんですね。
昨年、函館での朗読音楽会で初演した物語『待ち合わせ』の作者さんでもあります。

どちらも、深遠なテーマを持ちつつ優しい雰囲気の作品で、大好きです。



さて、木村さんの新作『遊戯哲学博物誌』。
この本のサイトが公開されています。→ 『遊戯哲学博物誌』サイト



木村さんが10年以上にわたって書き綴ってきた、80-90文字の短い文章が、
まるで詩のように連なって、きちんと並んでいます。

それらの文末には、ときどき、関連のある別の節へとつながる参照番号がついていて、
各節がネットワーク状につながっているという、ユニークな構成。


まるで、探偵小説に出てくる宝探しの指示、あるいは暗号のようで、
ワクワクしてきますね〜。
こんな哲学書、初めてです。


さて、この本の趣旨は、

「哲学」(西洋哲学)とはなにか。その根っこにある問いはふたつ。
「世界とはなにか」と「倫理とはなにか(=いかに生きるべきか)」。

それに対する木村さんの答えが、平易な日本語で語られています。


内容の一部が公開されていますので → 【公開】本の内容(著作権についてもご覧下さい)
哲学のみならず、言葉や詩に興味のある方も どうぞご覧ください。

ただいま、紙版(または、紙版+電子版)の予約受付中!。
電子版はすでに発売中です。→ 作家、木村洋平の本屋さん



本の表紙の絵画は 井上まさじ氏の作品。
子供の頃に仰ぎ見た夏の夜空、満天の星や天の川のようにも見えて、素敵。
井上まさじ氏も北海道の札幌で創作活動をなさっているんですね。





【木村洋平さんのご著作の詳細はこちら】



珈琲と吟遊詩人―不思議な楽器リュートを奏でる

珈琲と吟遊詩人―不思議な楽器リュートを奏でる

  • 作者: 木村 洋平
  • 出版社/メーカー: 社会評論社
  • 発売日: 2011/11
  • メディア: 単行本









ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』対訳・注解書

ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』対訳・注解書


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