古代中国における音楽 [お気に入り]
西洋では、ギリシャ、ローマ時代から中世、ルネサンス期まで、
「リベラルアーツ」つまり一般教養の基本として【七自由学科】をあげています。
七自由学科の内訳は、文法・修辞・弁証法(論理)/算術・幾何・天文学・音楽。
このことは、古楽好きの方にはよく知られていることでしょう。
では、東洋ではどうなのでしょうか?
先日、「漢文力」(著/加藤徹)という本を読んでいましたら、
古代中国での教養科目の話が出てきました。(P.159~)
ここでいう「古代中国」とは、孔子の頃で、だいたい紀元前500年頃。
簡単にまとめると、
それは「六芸」、すなわち「礼楽射御書数」で、
最初の二つ「礼楽」で教養を代表させる場合もある。
「礼」には天文暦象の探求も含まれ、「楽」には楽典の理解も含まれる。
古代中国人は琴(七弦)や瑟(しつ/二十五弦)を使い、高度な楽理を完成させた。
「射」は弓術、「御」は馬車の運転技術、「書」は読み書き、「数」は数学。
西洋の七自由学科と比べると、弓術と馬車の運転技術という、
身体を用いた実践的な科目が含まれているところに 違いがあるように思えます。
孔子の言葉として残されているのは、
子曰「興於詩、立於礼、成於楽。」(『論語』泰伯第八)
「人間の教養は、詩(=「書」)から入り、礼によって立ち、音楽で完成する。」
ううう、いきなり音楽を演奏しようとするのは無謀だったのでしょうか・・・。
詩とか・・・絶対、無理!
入り口で右往左往して、音楽まで辿り着けないうちに一生終わるパターンです、きっと。
最もハードルが高そうなのは、弓術かな。
全然違う方向に矢を飛ばして、人を殺してしまいそうで怖いです。
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この書籍、「漢文力」というタイトルですが、内容は哲学書に近いものです。
キリスト教とも仏教とも違う、世界観や人生観が示されています。
求めていたものは、意外にも身近なところにあった!という驚きを感じています。
時々、引用されているエピソードの中に「斉」という国が出てきます。
私の名前は、まさにこの国から頂いたものなのです。
私が産まれた頃、きっと父はこのような中国の古典にはまっていたんでしょう。
これは手元に置いておきたい一冊となりました。
【文庫版も出ています。高評価のレヴューを是非ご覧ください。どんな内容かわかります。】
【この本もすごーく良かった。江戸時代から明治時代の文化背景がわかる。そして現代人が失っているものも。】