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椿、もしくは日本のバラ [お気に入り]


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少し、前の季節の写真です。

満開の桜を見上げたのち、ふと足元を見ると、肉厚の椿の花が咲いていました。

赤い椿もいいけれど、こんな柔らかな表情のピンクの椿も愛らしい。


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こちらは、八重咲きの椿。白と赤の絞り柄。

もともと椿は、日本や中国の花ですが、
18世紀には ヨーロッパに伝えられ、「日本のバラ」と讃えられたそうです。

そういえば・・・。
長崎・平戸の教会には、椿をモチーフとした装飾が多く見られます。
まさに、イギリスの教会だったら、バラをモチーフにするであろう所に。

椿の花言葉は、「控えめな優しさ」そして「誇り」。



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古楽に関する動画チャンネル [お気に入り]


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古楽に関する新しい動画チャンネルが登場しましたので、ご紹介します。

Early Music SourcesというYoutubeのチャンネルで、
文献資料をもとに古楽に関するあれこれを検証していく、という趣向と思われます。

どれも真面目なテーマを取り扱っているのですが、ユーモアとジョークがいっぱいで、
楽しい動画になっています。

英語がよくわからなくても大丈夫。見ていればわかる。

まずは、オルガンについて。
【ORGANS FOR ACCOMPANIMENT】



伴奏用ポシティヴ・オルガンが どういう考えで造られたかという話です。
“IKEA”が出てくるのが笑える。


次は、ルネサンス時代の調律と音律について。
2本の動画に分かれています。

【TUNING AND TEMPERAMENTS IN THE RENAISSANCE PART 1】





【TUNING AND TEMPERAMENTS IN THE RENAISSANCE PART 2】



ここまで一生懸命(時々、笑いをこらえつつも)真面目に見ていたのに、
最後のオチで、ガクッと。

リュートのイラストが登場します。見てみてください。


あと1本、初期の通奏低音についての動画があります。
これは内容が非常に興味深いので、もう少し内容をよく見てから、
別記事にて紹介するかも。






このチャンネルの一番の見所は【動画編集の技】です。

「はぁ?そこですか!」と言われそうですが、そこです(断言)。


文献資料に基づきつつも、わかりやすさや親しみやすさを考慮した工夫や演出は 素晴らしいです。
そのために恐ろしく手間と技と時間をかけている、その姿勢を賞賛したいと思います。

これからの動画にも期待して【チャンネル登録】ボタンを押しました。



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古代中国における音楽 [お気に入り]


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西洋では、ギリシャ、ローマ時代から中世、ルネサンス期まで、
「リベラルアーツ」つまり一般教養の基本として【七自由学科】をあげています。

七自由学科の内訳は、文法・修辞・弁証法(論理)/算術・幾何・天文学・音楽。

このことは、古楽好きの方にはよく知られていることでしょう。

では、東洋ではどうなのでしょうか?




先日、「漢文力」(著/加藤徹)という本を読んでいましたら、
古代中国での教養科目の話が出てきました。(P.159~)
ここでいう「古代中国」とは、孔子の頃で、だいたい紀元前500年頃。

簡単にまとめると、

それは「六芸」、すなわち「礼楽射御書数」で、
最初の二つ「礼楽」で教養を代表させる場合もある。

「礼」には天文暦象の探求も含まれ、「楽」には楽典の理解も含まれる。
古代中国人は琴(七弦)や瑟(しつ/二十五弦)を使い、高度な楽理を完成させた。

「射」は弓術、「御」は馬車の運転技術、「書」は読み書き、「数」は数学。


西洋の七自由学科と比べると、弓術と馬車の運転技術という、
身体を用いた実践的な科目が含まれているところに 違いがあるように思えます。


孔子の言葉として残されているのは、

子曰「興於詩、立於礼、成於楽。」(『論語』泰伯第八)
「人間の教養は、詩(=「書」)から入り、礼によって立ち、音楽で完成する。」



ううう、いきなり音楽を演奏しようとするのは無謀だったのでしょうか・・・。

詩とか・・・絶対、無理!
入り口で右往左往して、音楽まで辿り着けないうちに一生終わるパターンです、きっと。

最もハードルが高そうなのは、弓術かな。
全然違う方向に矢を飛ばして、人を殺してしまいそうで怖いです。



              ***


この書籍、「漢文力」というタイトルですが、内容は哲学書に近いものです。
キリスト教とも仏教とも違う、世界観や人生観が示されています。

求めていたものは、意外にも身近なところにあった!という驚きを感じています。


時々、引用されているエピソードの中に「斉」という国が出てきます。
私の名前は、まさにこの国から頂いたものなのです。
私が産まれた頃、きっと父はこのような中国の古典にはまっていたんでしょう。


これは手元に置いておきたい一冊となりました。




【文庫版も出ています。高評価のレヴューを是非ご覧ください。どんな内容かわかります。】


漢文力 (中公文庫)

漢文力 (中公文庫)

  • 作者: 加藤 徹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫





【この本もすごーく良かった。江戸時代から明治時代の文化背景がわかる。そして現代人が失っているものも。】


漢文の素養   誰が日本文化をつくったのか? (光文社新書)

漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか? (光文社新書)

  • 作者: 加藤 徹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/02/16
  • メディア: 新書



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体内年齢 [お気に入り]


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もう1年ぐらい前になるけれど、体重計を新しくした。



今まで持っていた体重計は、乗れば体重が示されるだけのシンプルなものだった。

ところが、娘が社会人になって、会社での健康診断を受けた際、
項目の一つに「体内年齢」というのがあった。
そして、それは「17歳」であった。(実年齢は22歳)

親としては、無事に成人して社会人になり やれやれ・・・と思っていたところに、
「17歳」の判定である。

「何なんだ、体内年齢とは!」と思っている私の傍で、
娘は「まだ私は子供だもん」と嬉しそうであった。




そして「私も体内年齢を知りたいぞ」と思った。

区で行なわれている健康診断でわかるのだろうか、と思って問い合わせてみると、
「そんな細かいことまでわかる体重計では測りません」と言われた。

これは体重計を新調しよう、とAmazon検索である。

以前にも体脂肪が測定できる機種が登場した頃に検討したのだが、複雑すぎて見送った。

それから知らない間に技術は進歩していたのである。
乗るだけで(ボタン操作なしで)家族一人一人を識別し、
細かい項目まで表示し、前回と比較しての増減まで教えてくれる。
スマホと連動して、自動的にグラフに記録してくれる最新式もあることを知った。
「記録するだけダイエット」をしている人には便利な機能だろう。

体重
BMI
体脂肪率
内臓脂肪
筋肉量
骨量
基礎代謝
そして「体内年齢」!

念のために言っておくけど、私はダイエットしたいわけではない。
むしろ、体力アップのために5キロぐらい体重を増やしたいのであった。

毎朝、決まった条件で測り、それぞれの項目をチェックする。
それぞれの項目の意味を調べ、ウォーキングの歩数と比較して相関関係を考える。
食事の内容、頭脳労働、肉体労働の量との関連を考える。
Youtubeで登録しているチャンネルは、筋トレに励むお兄さんのチャンネルばかりであった。

そして、こんな家庭用の体重計の数値はあまり当てにならない、ということも知り、
私の体重計ブームは過ぎた。




一年経って今でも計測しているが、忙しい朝、真剣に見るのは「体重」と、
最後に表示される「体内年齢」だけである。


体重は一年かけて、5キロ増やした。健康的になり、体力は見違えるほどついた。
食事も美味しい。食欲というものを生まれて初めて自覚した。

そして肝心の、体内年齢は「実年齢ー8歳」(ときどき「ー9歳」に若返る。)
なぜか、体重は増加しているのに、一年前からほとんど変わらない。

そうして今日も(もう外見は諦めて)どうにかもっと体内年齢を若返らせられないか、と
体重計に乗っては、その数値に一喜一憂するのであった。





メーカーによって体内年齢の計測に差があるという記事(オムロンを所有している方は要チェックかも)



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毎朝、台所仕事をしながら計測するので、冷蔵庫の脇に立てかけて収納できるタイプを選択。
薄型で扱いやすく、デザインもよく、気に入っている。

1年前からだいぶ安くなっている!




こちらは iPhone/Androidアプリで記録を管理できる最新式タイプ。
Youtubeのお兄さんたちはこれを持ってる。
本気でダイエットしたい人にとっては、減少していくグラフを見るのはモチベーション維持になるかも。










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D-majorが聴こえる [お気に入り]


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不意に、真っ赤な壁に囲まれた。

D-majorの和音が頭の中で鳴り響く。

落ち着かない。さっさと出よう。




(ここは個室。赤い壁でなくても、さっさと出るところです)


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シロウテの物語〜太宰治「地球図」 [日々の想い]


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前の記事の続きです。

シドッチというと思い出されるのが、太宰治の作品「地球図」。
青空文庫で読むことができます。太宰治:地球図

短いながらも、シドッチに関して手っ取り早く知るためにも、
太宰作品として読むにも、おすすめ。

いたって真面目な話のはずが、太宰治のユーモラスな語り口にのせられると、
なぜか、おちゃらけた話に思えてくるのが、可笑しい。

着物と刀と丁髷で変装できるはず!と思ったシドッチのおめでたさや、
将軍交代でバタバタしているうちに 捕らえていたシドッチのことを
すっかり忘れてしまった幕府の人々や、
シドッチの言葉が解るだろうかとオロオロしている新井白石の様子やらが
いちいち面白くて、まるでコントのようです。

訊問にあたって 新井白石は通事をかばい「もし通訳を間違っても 責めるなよ」と
奉行の人に事前に念を押したりしています。
なんてチャーミングな人なんだろう、新井白石!

コンパスと地図の話の部分には やや疑問が残りました。
なぜ、ローマを指すのにコンパスが必要なのだろう?
特殊な航海図のような地図なのか、コンパスは方位磁石なのか 円を描くコンパスなのか、
どうもよくわからないな、と思っていたら、
偶然読んでいた「日本政治思想史」(著/渡辺浩)という本にも、新井白石とシドッチの話が出てきて 
同様の指摘がありました。

この本では「日本の高官の尊敬を獲得するための必死の演技であったのであろう。」とあります。
(他に同様の指摘をしている書籍の註もあり)

演技だとしたら、なかなかシドッチもいじらしいものです。


          ***

今回のシドッチの遺骨発見のニュースで私の心を捉えたのは、
むしろ新井白石でした。
いい就職口を同門の友人に譲ったり、
せっかく師匠が新しい就職口のギャラ値上げ交渉をしてくれているのに、
「いいよ、その安い値段で」とあっさり就職したり(それが大当たり)、
なんとも魅力的な人柄。


新井白石が埋葬されたお寺(高徳寺)が、近所だと知って行ってみました。
それが冒頭の写真。

現在は「荒居山」という名前で、隣に「新井白石記念ホール」があり、
葬儀や法事に利用されている様子でした。

近代的な真っ白い建物に、新緑が鮮やか。




日本政治思想史―十七~十九世紀

日本政治思想史―十七~十九世紀

  • 作者: 渡辺 浩
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本

地球図

地球図

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版









西洋紀聞 (岩波文庫 黄 212-3)

西洋紀聞 (岩波文庫 黄 212-3)

  • 作者: 新井 白石
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1936/10/15
  • メディア: 文庫




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シドッチが持っていたマリア像 [日々の想い]


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報じられてやや日にちが経ちましたが、
切支丹屋敷跡(東京都文京区)から出土した人骨がDNA鑑定などの調査によって、
イタリア人宣教師シドッチ(1668-1714)のものである可能性が高いことが判明しました。

以下、自分のための備忘録として書いておきます。

webニュースの中では、さすがに「クリスチャントゥデイ」が詳しく伝えています。

DNA鑑定については明瞭な説明。
イタリア人のDNAであったことと、
同時期に屋敷にいたもう一人のイタリア人、キアラとは身長によって区別されたとのこと。

埋葬法についての説明がやや判りにくいけれども、
「棺に体を伸ばした」状態の土葬という、ほぼキリスト教式での埋葬状態で発見されたことも
シドッチと考えられる根拠の一つになったらしい。

当時は 外国はもちろん日本でも土葬が一般的であったが、
日本では「手足を曲げた屈葬」が主だったため、それと区別された。

また、キアラ(小説「沈黙」のモデルとなった人)は転向したのち、
比較的優遇された生活を送ったにも関わらず、
その埋葬方法は、キリスト教では忌み嫌われる傾向にある「火葬」だったという。

両者を比較すると、どちらが幸せだろう、と考えてしまう。


            ***


シドッチ(シドッティ)が所有していた絵が、上記の「親指のマリア」(カルロ・ドルチ作)
現在、東京国立博物館が所蔵、重要文化財になっています。

没後300年だった2014年に話題になっていましたね。

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マリアを象徴する鮮やかな青い衣と、そこから僅かにのぞいた親指に目が惹きつけられます。

             

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黄色い薔薇 [お気に入り]


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黄色い小さな薔薇が、こんもりと生い茂り、垣根を越えてこちら側へ。

もう初夏の気配です。



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どこに行っても [お気に入り]


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資料を探すために、PC内の写真データを色々見ていたのですが、
これは確か、高知城の屋根。

・・・の上の鳩たち。

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あの高いところにあるお城の上から、町を眺めるのは気持ちよかろう。

どこに行っても、私が見ているのは、鳩やカラスたちばかり。

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マグダラのマリア像@近江楽堂 [お気に入り]


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舟越保武さん制作のマグダラのマリア像。東京オペラシティ3F  近江楽堂にて。



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続・八重桜 [日々の想い]


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青い空をバックにした八重桜の写真をもう一枚。

東京はとても良い天気に恵まれました。
朝早くから、冬物のセーターを全部洗って干しました。

まだ寒い日もあるけれど、もうウールのセーターはやめて、
春物を重ね着。

どんどん季節が移りゆくね。


ところで、この花を「八重桜」と思い込んでいるけど、
本当にそうなのかは、知らない。




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八重桜 [日々の想い]



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熊本、九州地方では、まだ余震が続いているようです。
避難している方々と救助活動にあたっている方々の安全と無事を祈るばかりです。

昨夜からテレビではずっとそのニュースを報道していて、
東京にいても、不安感と緊張感が高まりました。
3.11の時のことなどを思い出したりして、少し心が苦しい感じに。

リュートのことを考えたり、リュートの練習をしたり、
散歩に行って気分転換を。

今の自分にできることは、いつも通りに生活し、
何かあった時のために体と心の力を蓄えておくこと。


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星野博美氏講演「リュートに乗って時空旅行」 [コンサートのお知らせ]


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日本リュート協会の会員コンサートがこの春も開催予定ですが、
今回は、ノンフィクション作家・星野博美氏による講演、
「リュートに乗って時空旅行」が併催されます。



《日本リュート協会会員コンサート》
日時:2016年4月16日(土)開演13:00(開場12:30)
場所:近江楽堂(東京オペラシティ3F)

入場無料

予定プログラム、演奏者については協会のサイトに発表されています。




400年前のキリシタン殉教のことを調べるうち、
その時代のことをより深く知るためにリュートを始めたという星野氏。

この本は、キリシタンを巡る作品であると同時に、
どのようにしてリュートと出会い、リュートを入手し、レッスンを始めたかなど、
リュート入門体験記でもあります。

こんな本、今までになかった!

リュートを弾いてみたいが、どうやって始めればいいのだろう?と迷っている方には
とても参考になると思います。


講演の他、二重奏でのリュートも披露される予定とのこと、
こちらも楽しみです。

星野さんのファンの方も、是非ご来場ください。


上記の作品はいたって真面目ですが、
他の作品はユーモアと子供のような好奇心に溢れていて、
ホント面白い。
軽妙な語り口で、スイスイ読めます。
食事の支度をするためにしぶしぶ本を置く、というほど夢中になり、
久しぶりに、純粋な読書の楽しみを味わいました。


みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記

みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記

  • 作者: 星野 博美
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/10/06
  • メディア: 単行本

コンニャク屋漂流記 (文春文庫)

コンニャク屋漂流記 (文春文庫)

  • 作者: 星野 博美
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/03/07
  • メディア: 文庫

島へ免許を取りに行く

島へ免許を取りに行く

  • 作者: 星野 博美
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2012/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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公開セミナー&ミニコンサート(日本ルネサンス音楽普及協会) [コンサートのお知らせ]


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NPO法人日本ルネサンス音楽普及協会の第60回例会、
公開セミナー&ミニコンサート《西洋音楽の源流をたずねてV》が開催されます。



日時:2016年4月17日(日)14:00〜16:30
場所:絵本塾ホール    最寄駅/四ツ谷駅(JR線・丸ノ内線・南北線)より徒歩7分 地図


出演:第1部/公開セミナー 講師:金澤正剛先生
   第2部/ミニコンサート 能登伊津子(アルパドッピア)古橋潤一(リコーダー)


参加費:一般 2000円(協会会員は無料)
申し込み:事前申込制(定員40名)定員になり次第締め切ります。


              
西洋音楽の源は何か、
それがどのようにして進化し、今私たちが聴いている音楽になっていったのか、
6回にわたって探求するシリーズ。

5回目の今回のテーマは、
「マニエリスムからバロックへの過程でマドリガーレがどのように発展していったか」です。

音楽学の金澤先生が最もご専門とされる分野のひとつ、
マニエリスムの話とあっては、聞き逃せませんよ!

毎回、ずっしりとした豊富な楽譜や資料が配布されます。

冒頭の人物像は カルロ・ジェズアルド
おそらくレクチャーに登場すると予測して、wikiを読んでみましたが、
殺人者でもあった彼の経歴は 衝撃的ですね。




後半のミニコンサートには、初期バロックの名手のお二人が登場。
こちらも聞き逃せません。


公開セミナーは 14:00-15:50
ミニコンサートは 16:00-16:30の予定。

お申し込みは NPO法人日本ルネサンス音楽普及協会サイトよりメールで。



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リュートカレンダー4月の絵 [愛しのリュート達]


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おっと、桜を見に行ったりしていたら、
リュートカレンダーについての記事が遅れてしまいました。

早速、4月の絵を見ていきましょう。

フェルメールの【窓辺でリュートを調弦する女
Johannes Vermeer(1632-1675) "Woman with a lute near a window"

リュートを描いた絵の中では、最も広く知られている作品といっても良いでしょう。

一つお断りしなくてはなりませんが、
カレンダーではこの絵の上下部分をトリミングしています。
横長サイズのカレンダーに対して、このまま掲載すると
あまりに人物とリュートが小さくなってしまうためです。

上記が作品の全体像になります。
保存状態が良くないこともあって、リュートの細部は判別できません。

ボディの形や、トレブルライダーの様子などから、10コースのルネサンスリュートを
11コースのバロックリュートに改造したリュートかと推測されます。


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3コースあたりを調弦しているところかなーぐらいしかわかりません。
ロゼッタのデザインも不明瞭な状態です。


リュートを調弦しながら、窓の外に目をやる女性。
一緒にアンサンブルをする相手の到着を心待ちにしているところかもしれません。
というのも(トリミングしてしまった)画面の下、最も手前の床の上に、
ヴィオラ・ダ・ガンバが描かれているからです。

色合いが暗くて分かりにくいので、少し明るくしてみます。

close-up-viol.jpg

テーブルクロスの下、 ↑ ここです。

テーブルの上には楽譜も数冊用意されていますね。


では、楽器が登場する他の作品を。
この中にいくつ楽器を見つけられますか?

【合奏】"The concert" (盗難に遭い、行方不明中)

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答えは、5つ。

左から、テーブルの上にシターン。(1)

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床の上に、ヴィオラ・ダ・ガンバ。(2)

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女性が奏でているクラヴサン(チェンバロ)。(3)

そして、後ろ向きの男性がリュートを弾いています!(4)

肩越しに、曲がった棹が見えていて、かろうじて、リュートだと判別できます。
「もしもし、リュート奏者さん」と振り向かせたい!

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ペグボックスが双頭になっているタイプのリュート、
例えば、次のヘラルド・テル・ボルフの作品に描かれているようなタイプの
リュートのようにも見えます。

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この時期のオランダ絵画にはこのタイプのリュートが多く見られます。
ルネサンスリュートにそのまま、バス弦部分を付け足したような形で、
ルネサンスからバロックへの過渡期的なリュートと言っても良いでしょう。



【合奏】に戻って・・・。
右端の女性は、歌を歌っているようですが、楽器にはカウントしません。
あと一つの楽器は?

壁に掛かっている絵画(右)にご注目。リュートが描かれています。(5)
わかりにくいですけど。

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これは、フェルメールの義母が所有していた、バビューレン作【取り持ち女】(模造品)で、
こんな作品。模造品が販売されるくらいなので、当時人気があったのでしょう。

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この絵は他のフェルメール作品【ヴァージナルの前に座る女】の背後にも
描かれています。



「取り持ち女」とは、売春婦と客との仲立ちをする女性のことで、
この絵に影響されて、フェルメール自身も同じテーマで作品を残しています。

フェルメール作【取り持ち女】

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左端の黒い衣装の男性が、フェルメール自身との説もあり(かわいいじゃないか!)
その左手にはグラス、そして右手に持っているのは、もしや リュートでは!?。

双頭タイプのバロックか、と思わず身を乗り出してしまいましたが、
もしかしたら、シターンかも。

シターンが登場する昨品【恋文】↓ と比較してみる。

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(上)シターンのペグボックス部分を拡大。(下)フェルメールが持っている楽器(横向きに回転)

Vermeer,_Johannes_-_The_Loveletter-1.jpg  
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先端部分に、飾りの彫刻みたいなのが付いているようにも見えるから、
やっぱりシターンかな。どうでしょう。
ああ、そのテーブルクロスをめくってみたい!


【恋文】が出てきたついでに、シターンについても書いておきます。
この楽器、正面から見るとリュートに似ているので、よく混同されます。

別の作品【紳士とワインを飲む女】にも登場、椅子の上に置かれています。

800px-Jan_Vermeer_van_Delft_018.jpg

側面〜背面からの形がよくわかりますが、リュートのボディの膨らみはなく、
こんなに薄べったい楽器なのです。

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次に「ちょっと惜しかったなあ」という作品について。

【真珠の首飾りの少女】
X線で調査したところ、制作過程で椅子の上にリュートが描かれた跡があることが
分かっているそうです。(壁に地図もあった)

250px-Jan_Vermeer_van_Delft_008.jpg

全体に光が差していて明るい作品ですし、
もしかしたら他の作品よりも明瞭な形でリュートが描かれたかもしれない。
そう考えると、絵全体の良し悪しはともかく「描いて欲しかったなあ」と思いますねぇ。


                ***


さて、フェルメールの全作品、33〜36点(学者によって意見が違う)のうち、
楽器が登場しているものは、13点あります。
約3分の1の作品に何らかの楽器が登場していることになります。

一覧にしてみると。

「リュートを調弦する女」(リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
「合奏」(リュート、シターン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、クラヴサン)
「ギターを弾く女」(バロックギター)
「中断された音楽の稽古」(シターン)
「紳士とワインを飲む女」(シターン)
「恋文」(シターン)
「取り持ち女」(シターン?or リュート?)
「ヴァージナルの前に立つ女」(ヴァージナル)
「ヴァージナルの前に座る女」(ヴァージナル)
「ヴァージナルの前に座る若い女」(ヴァージナル)
「音楽の稽古」(ヴァージナル、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
「絵画芸術」(トランペット)
「フルートを持つ女」(リコーダー)


フェルメール全作品はこちらで見ることができます。フェルメールの作品
大まかな時代別に並んでおり、画像をクリックすると、高画質で見ることができます。

フェルメールに限らず、この時代の作品は、小道具、登場人物、作中画、構図など、
あらゆる要素に「寓意」「象徴」が盛り込まれています。
例えば「音楽のレッスン」は「恋愛の駆け引き」「誘惑」などを暗示する、という具合に、
日常生活の一シーンを描いているようで、実は「ストーリー」や「教訓」が
示されていたりします。

そのあたりの解釈は上記のサイトにも簡単に説明されており、
近年の日本でのフェルメール人気もあって、数多くの書籍も出版されていますので、
興味のある方は、ぜひそちらもご覧いただけたら、と思います。

そういう脈絡では「楽器」は「愛と調和」を意味する小道具として、
または記号として描かれるわけですが、
私たちは そこから立ち上がる音や弦の響きを聴こうとすることに抗うことができません。

作品全体を包み込む光の粒の間を縫うように 弦の振動が音の波動となって広がり、
やがて様々な色合いへと変化していく、その移り変わりを皮膚で感じては、
この上もない快楽に身を委ねてしまうのです。

カレンダーに取り上げた作品は、リュートが不明瞭な形でしか描かれていませんが、
とても魅力的な作品と思えるのは、そのようなところに理由があるのかもしれません。



【おすすめCD】

ガット弦が好きな方に是非。リュート/アンソニー・ベイルズ


オランダのリュート作品集 (Lute Music of the Netherlands)

オランダのリュート作品集 (Lute Music of the Netherlands)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Carpe Diem
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: CD



日本人の演奏家によるアンサンブルで!高音質による再販CD。



「オランダバロックの愉悦」 バロック時代のオランダの作曲家達による器楽作品集

「オランダバロックの愉悦」 バロック時代のオランダの作曲家達による器楽作品集

  • アーティスト: バロック時代のオランダの作曲家達,本村睦幸 (リコーダー),櫻田亨 (リュート、テオルボ、バロックギター),上尾直毅 (チェンバロ、オルガン、ミュウゼット、打楽器)
  • 出版社/メーカー: WAON RECORDS
  • 発売日: 2009/12/02
  • メディア: CD




フェルメール その時代の音楽

フェルメール その時代の音楽

  • アーティスト: バード,ゼレ,シャイデマン,クープラン,ナウヴァッハ,ロウズ,シャルパンティエ,ブクステフーデ,エルヴェ・ニケ,ジェレミー・サマリー,オックスフォード・カメラータ,マルティン・フンメル,カール・エルンスト・シュレイダー,グレン・ウィルソン
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2005/03/01
  • メディア: CD



【書籍】


謎解き フェルメール (とんぼの本)

謎解き フェルメール (とんぼの本)

  • 作者: 小林 頼子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 単行本




フェルメールの作品中に描かれている料理のレシピ集。

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)

  • 作者: 林 綾野
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本

この本についてはブログで書いています。こちらもどうぞご覧ください。
過去ブログ記事:フェルメールの食卓




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桜2016 [お気に入り]


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今年は、すっかり花見に出遅れてしまいました。
うちにこもって、本を読んだりPC検索に明け暮れたりしているうちに、
都内の桜はあっという間に満開に。

神田川沿いの桜並木です。
もう花びらが散り始めていて、川面に流れていく様も美しいものですね。



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