浴衣洗って夏、終わり [日々の想い]
暑かった今年の夏も、もう終わり。
使い古しの浴衣や、義母から譲ってもらったしじら織りの浴衣を洗ってしまう。
部屋干ししている浴衣の柄が、逆光の中で、ステンドグラスのように見える。
娘の赤い浴衣も洗ってしまわなければ。
あと何年、私が着付けて花火大会に送り出すのだろう。
少ししんみりしてしまう、夏の終わり。
リュート奏者コスプレ [お気に入り]
リュートを持った肖像画は、気取った上品なものが多いのですが、
こちらは、ずいぶんとまた、リラックスモードの肖像画です。
あるメーリング・リストで画像が流れてきて、
「誰だろう、この飲んだくれた親父は(失礼)。
酔っ払った足でふらついて、うっかり落としてリュート壊さないでよ」と、
他人事とは思えない心配をしつつ、詳細情報を読む。
メーリスでの議論は「これはバス・リュートだろうね」という話だった。
17世紀のオランダ、バスライダーなし、ボディの大きさなどから考えて、
10コースのバス・リュートだろうと、私も思いますよ。
リュート関係のメーリスの関心事はさすがにそのあたりなのね。
しかし、どうして貴族でなくて、親父がリュートを持っている絵なのか。
納得いかないので、調べてみました。
作家ヤン・ステーン(Jan Steen,1626-1679)オランダ・ライデン生まれ。
とりわけ有名なのは、庶民の日常生活の様子を描いたもの。
居酒屋を経営しながら人々を観察し、その様子を約800作品に描いたと言われています。
この絵のタイトルは「リュート奏者に扮した自画像」。
リュート奏者の格好をして自画像を描いているわけです。
つまり本当にリュートが弾けたかどうかは不明。
それにしても、両手の指先が美しいです。特に右手。
指先だけ見ていたら、リュートの美しい響きがポロロン・・・と聴こえてきそうです。
足の組み方も、いかにもリュート奏者っぽい。
本物のリュート奏者に、ポーズをとる指導をしてもらったんでしょうか?
・・・とここまで書いて、はた、と思いつきました。
本人がポーズとって、誰が絵を描くんだろう?
絵を描いたのは、ヤン・ステーンなのだから、
ポーズをとっているのは本物のリュート奏者で、
顔だけ、本人なのでは?
だとしたら、堂に入った左右の手の形も、足の組み方も、楽器の持ち方も、
すべて納得できる。
ちなみに、ヤン・ステーンの別の自画像はこちら。
いやはや服装と姿勢と表情で、人はここまで印象が違うものなのですね・・・。
手は少しごつごつしていて、やはり先の自画像とは違うように見受けられます。
この絵では真面目で実直そうな印象ですが、
冒頭の「リュート奏者に扮した自画像」では満面の笑みを浮かべていて、
よほど(絵の中だけだったかもしれない)リュート奏者コスプレが
嬉しかったんでしょう。
良かったですね、ヤンさん。
なんだか私にも、その嬉しさが伝わってきましたよ。
「どこの親父か」から「ヤンさん♡」と思えるぐらいには。
フェルメールの食卓 [お気に入り]
フェルメールの有名な一枚、「牛乳を注ぐ女」(1657-58頃)ですが、
この女性は、いったいどんな料理を作っているところなのでしょう。
牛乳を注いでいるのは、コップではなく、陶器の鍋のような形の容器です。
牛乳鍋? ・・・まさかね。
こんな私の長年の疑問を解いてくれたのが、こちらの本、
「フェルメールの食卓〜暮らしとレシピ」(林 綾野・著/講談社)
パンプディングを作っているところだったんですね!
この絵だけではなく、フェルメールの絵から、
当時のオランダで食されていたであろう料理、今でも普通によく食卓にのぼる料理などの
レシピが、絵と写真を添えて紹介されています。
家庭料理なので、気軽に作れそうなシンプルなレシピが多い印象です。
絵もエッセイも、料理も、と多角的に楽しめる一冊です。
最後に、フェルメールといえば、「リュートを調弦する女」(1664)ですね。
10コース・ルネサンスリュートを調弦しています。
弦の数、19本。まあ、時間かかるよね、窓の外を見たくなっちゃう気もわかる。