カッチーニの妻 [お気に入り]
その奥さんってどんな人?
そんな資料は音楽関係からはなかなか出てきませんね。
カッチーニの妻に焦点を当てた作品が納められているのが、
上記の『愛の年代記』(塩野七生・著/新潮文庫)。
中世末期からルネサンス時代、イタリア宮廷での9つの愛の物語。
amazonでは「フィクション」とされているけれども、
歴史的資料をもとにしたものであるから、すべて嘘物語でもないでしょう。
細やかな描写は、まるで見て来たかのようで、
実に読みやすく、わかりやすい。
政略結婚の裏側にある純愛の物語にワクワクする。
ルネサンスの宮廷の雰囲気も味わい深い。
肝心のカッチーニの妻を主人公にしたエピソードは、
二番目の「ジュリア・デリ・アルビツィの話」。
「・・・メディチから与えられた持参金を持って・・・
メディチ家の音楽師カッチーニの許へ嫁いだのである。
夫となった男は、音楽の才能はあったらしい。
性格的にはどんな男だったのかは知られていない。
・・結婚生活は地味なものだった。・・・」
持参金と引き換えとはいえ、ジュリアの前歴はなかなか。
それがどんなものか興味のある方は、本をご覧下さい。
他に、天正遣欧少年使節団のために舞踏会を開いたといわれる、
大公妃ビアンカ・カペッロの回想録などが
個人的には資料として保存版。
官能的シーンと残虐シーン多いので、R18、閲覧注意です。